お客様のご要望
商品を保管する倉庫で何度も繰り返す雨漏りに悩まされていました。
そんな時に偶然YouTubeで平板板金さんの存在を知りご相談しました。
問題の倉庫は雨が降るたびに商品が濡れてしまうので、商品移動やシートを被せるなどの対策をせざるを得なく業務に支障がきたしていました。
雨漏りが発生した最初のうちは安い業者に依頼し簡易補修していましたが、結局は雨漏りが再発してしまいその度に商品をだめにしてしまう状況に悩まされています。
平井板金さんであれば一時的な補修ではなく、長期にわたり安心できる修繕をして頂けると想いご相談いたしました。
現場調査
埼玉県内からのお問い合せを頂きました。
打ち合わせ日程を決めてからお伺いしました。
調査ではまずは建物の雨漏りの状況や躯体の状況などの確認をおこないます。
予算感や維持管理についても、お客様にヒアリングしてお見積もり内容を詰めていきます。
見積もりは2週間ほどで作成できますが、場合によっては更にお待ちいただく場合もありますのでご了承くださいませ。
建物の状況
築年数は30〜40年頃。
既存屋根は超大波スレートでした。
波型スレートには小波、大波、超大波がありますが、一般的な屋根には大波が使用されることが多く、今回の超大波スレートで施工されている屋根は珍しいです。
問題の雨漏り部は、別業者が補修したと思われるコーキング後もありました。
亀裂が発生しており、雨漏り再発の原因になっていると考えられます。
雨どいには泥が詰まっており排水が機能しておりませんでした。
劣化や変形もあります。
調査後のご提案内容
提案① 下地から作る屋根カバー工法
まず第一に雨漏りを直すことが大前提ですが、長期的なことを考えると葺き替えかカバー工法で検討するのが良いでしょう。
お客様の希望で工事中も倉庫を稼働させたいとのことなのでカバー工法をおすすめしました。
※カバー工法とは…
既存屋根を残した状態で新しい屋根を設置する工法で、お客様が工場や倉庫で業務を行いながらも工事ができる方法です。
産廃処分が少なくなり工期短縮も短くなりますので費用を抑えられますが、屋根が重くなることで耐震性低下の欠点があります。
既存屋根が超大波スレートという特殊な屋根材で適合するカバー工法の屋根材が少ないので、見た目も納まりも良い下地から新しく設置するカバー工法でご提案しました。
提案② 雨どいの交換と雪止めの新設
雨どいは屋根の高さが変わってしまい既存のままでは使えないため、新しい雨どいを設置でのご提案です。
また、追加で雪止め設置のご依頼もありましたので見積もりに反映いたしました。
提案③ 休日の屋根材搬入
大型屋根材の搬入にはクレーン車を使って大型トラックから屋根材を移動させるため、敷地を目一杯使います。
その為ご依頼会社の業務に支障が出る事が予測できる場合は事前に搬入日を決めて、場合によっては日曜祝日に決行することもあります。
提案④ 仕様内容
屋根材 | ビルドマテリアル 角はぜⅡ型 t=0.6(色:シルバー) |
役物原板 | 日鉄鋼板 ニスクカラーPro t=0.6 |
屋根材金具 | 佐野庄製作所 スレート改修金具 |
雨どい | Panasonic 前高165WIDE(色:ねずみ) |
⑤概算内容
工事期間 | 約1か月半程度 |
工事内容 | 仮設足場設置 解体工事(一部) 鉄骨工事 屋根工事 板金工事 雨どい工事など |
費用 | 屋根工事一式 11000円/㎡位(下地鉄鋼別途) 雨どい一式 5000円/m位 板金工事など 2000/m円位 その他 安全対策費、諸経費、税金など |
※2023年の見積もり金額内容です。
工事の流れ
落下防止用安全ネットの設置
既存が波板スレートの場合、最も注意するべきポイントは「落下防止」の安全処置です。
作業足場設置はどの現場でも当たり前ですが、この屋根材の恐ろしいのは踏み抜きによる落下事故です。
この屋根は毎年死亡事故が発生しており、屋根職人にとっては命に係わる危険な工事になります。
だからこそ、万が一踏み抜いても事故にならないように安全ネットを先行で施工します。
下地の施工
既存のボルトに専用の金具を設置してそこに鉄骨下地を連結させます。
スレート改修金具は強度がありながらもシンプルで、施工性が高い優れた商品で作業性UPが期待できます。
スレート改修金具を設置した後は屋根の下地となるC型鋼を連結させて、さらにその上にタイトフレーム金具を取り付けします。
材料の搬入
屋根の長さや形状で搬入方法は変わりますが16mまで屋根材の長さはトラックで搬入します。
それ以上の長さを運搬する場合は、道路交通法に違反になる為基本的には現場成型といって屋根を作る機械を現場に設置して製造しながら工事を行います。
今回は16m未満でしたのでトラックで搬入してクレーン車で荷揚げを行います。
この場合でもかなりの作業スペースが必要になるので、事前にお客様と打ち合わせを行い業務に支障をきたさない計画とお互いの配慮が必要となります。
屋根の施工
今回使用している屋根材のハゼ折半は固定金具が隠れる施工方法なので、見た目が綺麗でしかも漏水リスクも低いです。
さらにカバー工法で屋根が2重になっているので、若干ではありますが断熱性や防音性の向上も見込めます。
雨どい工事
屋根の施工に合わせて雨どいも交換してます。
排水量のある雨どいを使用しているので、オーバーブローが起こりづらい雨どいです。
雪止めの施工
埼玉県の積雪量はかなり少ないエリアですが、金属屋根で屋根勾配(屋根の角度)がきついと雪が滑りやすいです。
雪の落雪を気にする場合は雪止めを検討することをお勧めします。
その他板金施工
屋根本体が葺き終われば、棟・ケラバ・面戸などの細かな施工があります。
特殊な形状になることが多いので、その場合は平井板金の工場で加工した製品を取り付けします。
工事中の動画
今回の工事はYoutubeでも配信していますので、合わせて見て頂けると幸いです。
ビフォーアフター
屋根修繕のタイミングが分からない方へ
今回のように雨漏りが頻繁に発生するようであれば容易に修繕の決断できると思いますが、そうでない場合のリフォーム時期はいつがベストか?
考え方が3点あるので参考にして下さい。
①波型スレートの耐用性を考える
アスベストが含まれる波型スレートの場合は(2006年以降の屋根材はノンアスベスト)耐久年数が30年〜40年程度とお考え下さい。
スレート材は水を含みやすい性質があり、膨張や凍結などを繰り返すことで強度低下がおこり台風など突発的強風に耐えられず破損することがあります。
②屋根が小波スレート
波型スレートには小波、大波、超大波の3種類あります。
本来、屋根用に設計されたのは大波と超大波の2種類で、小波スレートは屋根の使用は推奨されていませんでした。
しかし、費用を下げるために多くの屋根に施工されてしまった現実があります。
強度がないのでひび割れや欠けが起こりやすく補修では一向に直らない事が多いです。
ちなみに落下事故が多いスレート屋根ですが、そのほとんどはこの強度不足の小波スレートの踏み抜きによる転落です。
③予算で迷ったら減価償却
雨漏り補修や部分工事の場合は原状復帰工事になるため、修繕費扱いで帳簿上では経費扱いとなり損益計算書に記載されますが、付加価値を伴なう工事の場合は資本的支出となり資産に計上し減価償却が必要になります。
ほとんどの金属カバー工法の場合は性能向上と判断されるので、資本的支出となり減価償却が可能となります。
その他の遮熱塗装や屋根断熱なども性能向上と判断されやすいです。
ただし、工事内容によっては適合しないこともあるので、まずは税理士さんにご相談すると良いでしょう。
まとめ
波型スレートは雨漏りや破損が発生しやすい屋根材ですが、決して自分で直そうと考えないでください。
ちょっと点検するだけでも屋根の上は墜落の危険があり、プロ職人でも無理と判断して登らないこともあるのが波型スレート屋根です。
平井板金ではお客様のご希望やお悩みと建物の状況から適正な施工方法を適正価格でご提案できるように努力しておりますが、危険が伴う工事に関しては安全対策費を必ず頂いております。
安全に施工できる環境によって職人が作業に集中でき、より良い工事になると考えております。
お困りごとはまずはお気軽に平井板金までご相談くださいませ。