デザインと性能を高める金属外装リフォーム

お客様のご要望

事業展開でこのエリアに新たに事業所兼倉庫を設けようと、中古物件を購入。
建物は鉄骨造で躯体はしっかりしていたが、それ以外の内装外装は劣化をしており又事業所兼倉庫として使用するには使いづらい箇所もあるためリノベーションを計画。
そして色々と検討しているなかでYoutubeで平井板金を知って頂き、ご相談の連絡を頂きました。

お客様のご要望

  • 外壁の張り替え
  • 屋根の塗装エントランス、窓やシャッターなどの新設や変更
  • 見た目はかっこ良く
  • 建物の耐久性や性能にもこだわりたい
  • 内装工事についての相談
  • 増改築についても検討中

最適なご提案のための現場調査

メールでお問い合わせ後に何度か確認をとって、現場調査をさせていただきました。
お客さまは東京都在住の方でしたので、日程を調整して打ち合わせいたしました。

建物の状況

築年数は20年前後の鉄骨造です。

  • 外壁

外壁は窯業系サイディングでしたがメンテナンスがされておらず、ひび割れだらけで雨漏りが発生していました。
深刻な劣化で張り替えは必須な状況です。

  • 屋根

屋根は塗装が剥げており、ボルト部から錆が発生していました。
それ以外の板金箇所にはコーキングで防水処理されていましたが、劣化しているため機能しているか怪しい状況です。

  • 窓とシャッター

窓はアルミのシングル窓でした。
窓の性能が低いと夏は暑く冬は寒くなりやすいです。
シャッターは錆で動きが悪く塗装も劣化していました。

  • 階段

転落してしまうのではないかと不安になるほど急な階段。
日常的に使用する場合はストレスになりますし、足腰が弱い方や登り慣れない方ではケガをする恐れもあります。

調査後のご提案内容

①金属外壁で外壁張り替えと下地のメンテナンス

既存の外壁のひび割れが多く劣化が酷い状況でしたので、張り替えをご提案いたしました。
張り替えのメリットは古いものを撤去するので、下地のメンテナンスも容易になります。
雨漏りの影響で鉄骨がサビによって腐食しており、補強も行います。

②屋根塗装

お客様から断熱塗装がしたいというご要望がありました。
しかし断熱塗装は他の塗料より値段が高いわりに、内装で使用するグラスウール断熱材などと比べると1/20程度の断熱性能しかありません。
しかも今回のリノベーションでは内装工事も予定されているので、その際に断熱施工を行うことが適切であるとご説明しました。
したがって塗装も断熱塗料では費用対効果が低いので、遮熱塗料をおススメしました。
こちらは日差しが強くなる時期に熱くなりやすい折半屋根には効果抜群の塗料です。

③サッシ施工

調査をして最初に感じたことは窓が異常に多いことでした。
窓は熱を伝えやすいので建物の温熱環境で弱点となります。
日本のほとんどの窓は外壁を解体しないと交換できないようになっているので、今回のようなタイミングを逃すと後からの工事は難しくなります。
しかも既存が低性能なシングル窓だったため、標準的なペアガラスにするだけでも環境が改善すると考えました。
更に使わない窓を減らして大きすぎる窓は小さくすることで、外皮性能UPも見込めることを伝えて窓の計画を進めるようにご提案いたしました。
シャッターの交換は現状で4か所あるうちの不要な2か所の開口部は壁にします。
サッシと同様で不要な開口部を減らすことで断熱効果が高くなります。

④雨どい交換、軒天井板金工事

今回の工事では外装がフルリフォームするので、古いものが残ると統一感がなくなって見た目にも影響します。
雨どい、軒天井以外にも、電気メーター、笠木板金、基礎など些細な箇所も工事のご提案をいたしました。

⑤内装解体工事

お客様の計画では内装工事と外装工事を行う予定でしたが、弊社が工期や人員の都合上内装工事はお断りして、分離発注してもらいました。
しかし、外壁解体と内装解体を同時に行った方が効率、費用的にも良いと判断して解体は弊社で行うようにご提案いたしました。

⑥階段の付け替え

今回の工事で肝となるのが階段です。
通常は階段だけ交換する事は不可能ですが、内外装を解体する事で可能になりました。
何度も打ち合わせを重ねて、施工方法の確認と使い勝手が良くなるプランをお客様と共に計画いたします。

仕様内容

外壁材 2階正面部 アイジー工業 SFガルブライト Fクールブラウン
1階部 アイジー工業 銘壁スタッコJ アイボリー
屋根塗料 日本ペイント サーモアイ4F
内装塗装 SK化研 クリーンマイルドシリコン
YKK フレミングJ
エントランス 店舗ドア7TD
シャッター 文化シヤッター 新セーヌ シルキーホワイト
コーキング サンライズ SRシールH100
雨どい Panasonic エアロアイアン前高130WIDE
階段 特注の鉄骨階段

概算内容

工事期間 約3か月程度
工事内容 仮設足場設置
外装
内装解体工事
外壁張り替え工事
屋根内装塗装工事
雨どい工事
板金工事
サッシ工事
鉄骨(階段部)工事
費用 屋根塗装工事一式 140㎡ 合計40万円程度
内装塗装工事一式 1式 合計40万円程度
金属外壁工事一式 300万円程度
雨どい工事一式 15万円
内外装解体工事 20万円
サッシ、エントランス工事 200万円
シャッター改修工事 60万円
階段改修工事 130万円
その他 安全対策費、諸経費、税金

※2022年の見積もり金額内容です。

工事の流れ

解体工事

外壁はノンアスベストでしたので作業は比較的スムーズに行えました。
内装の解体も同時解体でしたので産廃ごみが大量に出ましたが、現場にゴミ用コンテナを設置することで現場で分別をしながら作業を行いました。

外壁施工

外壁解体後に防水透湿シートを施工してその上に胴縁を施工します。
胴縁を施工する事で通気層が確保されるので壁内結露による腐食や雨漏りの2次防水が機能しやすいなどのメリットがあります。
使用した金属外壁材のガルブライトはフラットなシンプルデザインなので鉄骨造のような箱状の建物と相性が良いです。
1階のスタッコ柄は昔からの定番品ですが、主張が少ないのでガルブライトの高級感を際立ててスタイリッシュでカッコいい仕上がりとなっています。
ちなみに軒天井も角波と言われる形状の金属材です。

※参照:ガルブライト

塗装工事

塗装で大切なのは母材をサビや腐敗から守ることと美観を改善することが求められ、耐久性と費用のバランスも大切です。

今回の工事では一部の鉄骨が錆で腐敗して使えない状態だったので交換していますが、塗装メンテナンスが行き届いていれば不要な工事だったはずです。
塗装には劣化の保護と美観が重要ですが、他には遮熱の機能の要素もあります。
太陽光を反射する事で屋根の温度上昇を和らげて夏の厚さを軽減します。
どの塗装にも遮熱性能はありますが、遮熱塗料は特に日射反射率に優れています。
更に色によって日射反射率の影響があるので有利に働く白系の明るい色がおすすめです。

注意点として、太陽光の反射で眩しさで迷惑を掛けてしまう恐れがあります。
こちらでも当初は白系を予定していましたが、近隣の家から近い事もあり反射で眩しいということが無いように配慮してクールベビーリーフ色を採用いたしました。

※参照:サーモアイ4F

階段の付け替え工事

今回の工事でどうしても外せなかったのが階段の使い勝手改善です。
作業は室内の鉄骨階段のため解体も普通には出来ません。
通常のクレーン車も使えないのでカニクレーンという極小地でも動かせるクレーンを使っての作業です。
職人の緻密な計算と施工により安全で使いやすい階段に生まれ変わりました。

サッシ、エントランス工事

窓は通風や換気、明かりを取り入れる機能がありますが、デメリットとして断熱などの外皮性能の低さがあります。
私の考えでは半分くらいは無くても機能すると感じましたが、お客様は通風も重視していたので数は残してサイズを小さくする事になりました。
サイズが変わることで鉄骨下地の調整も必要ですが、今回のような外壁解体を行っている場合は支障なく下地施工が可能です。
エントランスもこれまでの引き違いから開放感のあるドア形状になったのでお客様が来店した時にはスムーズな出入りが可能となるでしょう。

シャッター工事

エントランスの新設に伴い、シャッターも新しいものを設置しました。
しかし問題点としてエントランスの取っ手がシャッターに干渉するということで、予めシャッターに合わせてエントランスを内側に下げて施工いたしました。
電動シャッターも可能ですが、今回は予算の都合で手動シャッターを設置いたしました。

ビフォーアフター

機能性を考えるリフォーム

国内にある既存の建物の多くは断熱性や耐久性といった外皮性能に対する考えが低く、価格優先で選ばれた低性能な材料が使われていることが多いです。
工事前の仕様と工事後の施工で、どのように性能が上がったのかを解説します。

・窯業外壁(既存の仕様)

今回の建物でひび割れだらけになってしまった外壁材は窯業系サイディングですが、メリットは初期コストの安さとデザインの豊富さです。
今でこそ塗膜保証40年という窯業系サイディングも開発されていますが、それでもひび割れや反りなどの耐久性に関する保証は10年程度です。

・金属外壁(新しい外壁)

金属外壁の耐久性は穴あき保証で20年と窯業系の10年長い程度ですが大きく違うのが実績です。
旧金属外壁の亜鉛鋼板でもメンテナンス次第で何十年も耐久性を維持している中で、今の外壁材はガルバリウム鋼板というその上の性能の外壁材です。
今までの施工を見ても個人的な考えでは、塗装の色あせはあれど50年程度の耐久性があると感じています。

・アルミシングルガラス(既存仕様)

室内の熱が逃げる箇所の大部分が窓からです。
住宅における低性能なアルミフレームのシングルガラスの場合は、58%の熱が窓から逃げるというデータもあります。

・アルミペアガラス(新しい仕様)

普通のペアガラスなので特別性能が高いわけではありません。
しかしシングルガラスと比べれば格段に性能が上がります。
予算がある場合はフレームを樹脂窓や樹脂複合アルミにして、更にトリプルガラスにすると良いでしょう。
今回の工事ではサイズも必要最小限にして窓面積も減らしているので、格段に外皮性能が上がったと言えます。

・シリコン塗装(既存の仕様)

現在では一般的なシリコン塗装だったと想定します。
既製品鋼板から製造された屋根材の場合は焼き付け塗装されるので通常のよりも耐久性は高いですが、20年となると色あせやサビは防ぎきれないでしょう。

・フッ素遮熱塗装(新しい仕様)

塗装に必要な要素で耐久性がありますが、母材との相性を考えて選ぶと性能を活かせます。
今回は折半屋根という金属製の屋根ですが、欠点として熱伝導率が高いので室内に熱を伝えやすいです。
これは冬場はメリットと言えますが、暮らしの観点で考えると夏場の熱を遮断した方が有効でしょう。
耐久性の高い金属屋根の場合は、長期的に保護して更に欠点を遮熱するフッ素遮熱塗料がおすすめです。

まとめ

今までの日本の建築に関する考えがデザインとコストを優先してきた結果として低性能な建物が多くあり、まだまだ多くの一般消費者が低性能な建物で暮らすことが当たり前な状況です。
改善するためには今回工事した中古物件では大規模なリノベーションを行う必要があり、そうでなければ新しく建てるしかありません。
ただ、個人で住みやすい暮らしを求めて新しい家を手に入れても、職場では厳しい環境で働かざるおえない状況は今後もまだ続くと思います。

持続可能が求められる時代にコストだけを優先する建築は次の世代に負になりえます。
そうならない為に私どもはお客様と共に未来も考えて、建築をご提案出来ればと考えております。

工場や倉庫など建物に関してお悩みの方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。
ご要望を汲み取り、未来を見据えたご提案をいたします。

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