火災保険で雹(ひょう)被害の屋根工事

お客様のご要望 

2022年6月に発生した雹(ひょう)の影響で、庭に屋根の欠片が落ちていました。
屋根が破損していると思われるので、調査をしてほしいとお問い合わせをいただきました。
また、火災保険が適応されれば使いたいので、保険屋さんに提出するため屋根の被害状態の写真と復旧に掛かる工事の見積もりが必要との事でした。

お客様の要望

  • 火災保険が適応されるか調査
  • 屋根の被害状態に応じた修繕
  • 外壁も色あせがあるので塗装も検討中
  • テレビのアンテナをどうにかしたい
  • それ以外にも不具合がないか調査してほしい

現場調査

現地にてお客様と打ち合わせを行い、被害状況と工事内容や保険について確認しました。
保険に関してはお客様がご連絡済みで必要事項を確認していたので、円滑に調査を行えました。

建物の状況

屋根材は平板スレート瓦でした。
遠目でみるとそれほど被害がなさそうに見えましたが、屋根に上ると至る所にヒビや欠けが発生している状況でした。
被害箇所は白い素地が見える事から比較的最近の事と分かるので、直近に発生した雹の被害と考えられます。

屋根材にコケが発生しており、塗装の劣化がわかります。
雹被害の修繕だけでなく、その他のメンテナンスも必要な状況です。
ただし経年劣化は、保険の適応外となりました。

雹被害では、雨どいの破損が多いので念入りに点検します。
耐久性の高い雨どいが使用されていた為、幸い破損はありませんでした。
しかし色あせがあるので、意匠的には綺麗とは言えない状況です。

外壁に関しては破損はなしでしたが、お客様が懸念している塗膜の劣化はありました。

コーキングの劣化です。
外壁材の目地の穴埋めに使用するコーキングは耐久性が10年程度のものが多いです。
ひび割れが発生すれば漏水リスクの可能性が高まります。

ベランダ防水の劣化です。
コーキングと同様で、10年程度でメンテナンスすると漏水リスクが減ります。

テレビアンテナに関しては地域や建物の高さなどで電波状況が変わります。
お客様からは外壁に移設のお話がありましたが、周りの家の状況から外壁に設置する事は不適切と判断し、別の方法を検討するため一旦会社に持ち帰りました。

調査後のご提案内容

①保険に必要な報告書と見積書を作成

まず優先事項は保険が適応されるかどうかです。
そのためには私たち工事会社が雹の被害の報告をして、保険屋さんが認めなければ保険はおりません。

今回は明確な被害と言えますが、話を円滑に進めるために保険屋さんにも被害状況が伝わるように、写真と弊社の見解を書いた報告書を作成しました。

また、保険には現状復旧に掛かる見積もりが必要です。
保険金をどのように使うかはお客様の自由ですが、審査に使う工事見積もりが復旧工事と関係がないものでは審査に手間がかかるだけでなく不信感にも繋がりかねません。

円滑に保険を進めるためにも、見積もりは保険屋さん用とお客様用の2通を用意します。

②屋根工事

屋根の雹被害が全面的であることから、部分補修ではなく既存屋根と同じスレート瓦での葺き替えか、金属材でのカバー工法が適切と判断しました。
費用的には大きく変わらないことから、カバー工法で見積もりを作成して保険屋賛さんに判断をゆだねる事にしました。
今回のカバー工法では、弊社では標準的なSGL鋼板(次世代型ガルバリウム鋼板)であるHBルーフでご提案しました。

【HBルーフとは】
平井板金の自社屋根でニチハの横暖ルーフのOEM商品です。
断熱材付きの屋根材で品質が高く、しかもHBルーフだと高級感のあるカラーバリエーションが選べるのが特徴です。

③外壁塗装

保険とは関係のない工事ですが、同時に施工することは問題ありません。
屋根の補修工事を行う際に使う足場で、外壁の塗装メンテナンスも行います。
コーキングやベランダの防水なども一緒に施工を進める予定です。

それ以外にも破風板、雨どいなどの見える箇所は全て塗装を行います。

劣化した破風板

④テレビアンテナ

外壁にポールを固定してアンテナを設置する方法がありますが、お客様エリアだと高所設置になるため強風にあおられるなどデメリットが発生します。
今回は不要なアナログアンテナを撤去して柱を塗装するだけのシンプル施工をご提案いたしました。

⑤仕様内容

屋根材 平井板金製品 HBルーフ(SGL鋼板厚み0.35mm)
ルーフィング 田島ルーフィング タディスセルフカバー
雪止め トンサイディングシーライト
外壁塗装 エスケー化研 クリーンマイルドシリコン
外壁塗装(柱型部) 日本ペイント UVプロテクトクリヤー
外壁コーキング トンサイディングシーライト

⑥概算内容

工事期間 約1か月半程度
工事内容 仮設足場設置
屋根工事
外壁塗装工事など
費用 屋根カバー工事:130万程度
塗装工事:80万程度
コーキング工事:30万程度

工事の流れ

まずは保険屋さんの返答待ちです。
保険が適応されるかの回答は1週間程度待ちます。
それによっては工事予算も変わってくるので焦らずに待ちましょう。

【悪徳火災保険詐欺のは注意!】

※火災保険を使って自己負担0円で屋根工事を薦める方がいれば超注意です。

なぜなら火災保険が適応されるのは火災、風災、水災、雪災などの自然災害による損害で、それを保証するものなので経年劣化による不具合は含まれないからです。
そのため自然災害である証拠やそれを立証する物が無ければ、保険は適応されません。

しかし例えば今回の雹被害を捏造して、外壁や雨どいにも破損が有ったとして偽りを報告し、保険金をだましとろうとする輩も存在します。
しかもお客様がもし嘘を報告していることを知って容認していれば、お客様も罪を問われる可能性があります。

詐欺手段は他にもあります。
工事は行わないが、保険の手続き仲介料を奪う詐欺もあります。
被害内容によっては保険金が100万円が出たのにも関わらず、仲介料で半分の50万円を請求され、支払いを済ませたとたん音信不通になると言ったものです。

手口は様々ですが共通して言えることは工事費がタダ、手続き代行するなどは極めて危険と言えます。
まずは自ら保険会社に確認をすると良いでしょう。

保険の適用条件

保険内容によって違いがあるため一概には言えませんが、一般的には建物に予期せぬことが起こった時に適応されるのが火災保険です。
そのため予測できる経年劣化で雨漏りが発生しても、適応されません。
例えば外壁目地のコーキングにひび割れが発生して雨漏りした場合は、経年劣化の可能性が高いので適応外になる可能性が高いです。

また適用範囲で建物に限るので、門柱や外構、自宅以外の建物に被害があっても適応されません。
屋根が強風で飛散した場合はその屋根の修理費はでますが、その屋根が周辺の家や車を破損させた場合は基本適応外となるので、特約などの内容次第と言えるでしょう。
また、忘れがちなのが工事金額が○○万円以上でないと適用されないものが多いです。
ただし、屋根工事の場合は足場設置が必要となることがほとんどな為問題ない事が多いですが、被害規模が少ないからと最低限の見積もりでお願いした結果、必要金額に達しないという場合もありますので、保険内容をよく理解しておきましょう。

保険金が決定したら

保険金は工事の復旧に使用するものだと思っていますか?
実は被害とは関係のない他の工事に使っても良いですし、外食する糧にしても全く問題ないのです。
とは言っても保険を使うほどの被害が出ている状況であれば、後の事を考えてメンテナンス費に使うことが好ましいでしょう。

今回の屋根では始めからカバー工法で保険屋さんに見積もりを提出していますが、同様に棟が風災で破損してしまった保険金を棟修繕に使わずに屋根カバー工法の資金に充てることも可能です。
また、屋根の修繕のほとんどが足場費が含まれているのでそれを利用して外壁塗装も行うことでお得な計画になるでしょう。

ビフォーアフター

火災保険=万全ではない

体にガンが発症してしまったとして、保険で治療費が出たから安心というのはお金の話で、体や心を完全に直すことは難しくそこにかかる時間は戻ってきません。
これはどの保険でも同じことが言えるので、使わないに越したことはないです。

屋根が飛散して雨漏りした場合見える箇所は修繕できますが、交換が難しい上に被害がさほど深刻でなければそのまま再利用するといった判断は施工の都合上良くある話です。
そのため許容範囲とはいっても、修繕で100%元に戻ることは無いとも言えます。
また保険適用されない被害もあるので、保険内容を理解をしたうえで備える必要があります。

そして重要な事は保険だけに頼ってはダメです。
家の維持管理は住み手の役割です。
屋根の飛散は、二つの条件が重なると発生しやすくなります。
劣化と強風です。

今まで大丈夫だった建物でも、メンテナンス不足によって飛散リスクは高まります。
この場合は風災と判断されることがほとんどですが、メンテナンスをしていれば発生しなかった被害かもしれません。
屋根の飛散となれば隣家の車や外壁を破損させてしまうことがあります。
自然災害なので瑕疵が無く賠償責任はないのですが、逆にそれがトラブルに発展する場合もあります。
特に雨の多い梅雨の時期や台風が発生する時期は被害も増えます。
そうならない為にもメンテナンスを心がけ、予期せぬ事態に備える為に火災保険を見直すと良いかもしれません。

自然災害に備えたメンテナンスや、自然災害による被害の修繕をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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