お客様のご要望
- 賃貸として工場又は倉庫として貸し出す予定だが、劣化による雨漏りをしているので何とかしたい。
- 工事費と耐久性の観点から費用対効果を考慮した上で、費用を抑えた施工をお願いしたい。
- 建物の一棟が貸し出し中なので、借主にご迷惑をかけないように工事を進めてほしい。
弊社からのご提案
①ドローンを使用した現場調査
詳細なお見積もりは勿論ですが、プロの視点で建物が抱えている問題を見つけるために現場調査が必要となります。
お客様のご希望に合わせて、弊社からご提案をさせていただきます。
②現地調査の結果からご提案
現場調査の結果とお客様のご希望を考慮し、既存の屋根を残したまま施工ができる金属屋根材のスレートカバー工法をご提案させていただきました。
③借主様への配慮
建物の借主様に配慮してお休み中の祝日に屋根材の搬入と入り口の開口足場で対応いたしました。
工事期間 | 約3週間 |
工事内容 | 仮設足場設置 安全対策ネットの設置 一部屋根解体 スレート屋根カバー工事(屋根材名:タフレッシュ) その他板金施工 雨どいの清掃 |
費用 | 約10,000円/㎡(2021年) |
ビフォーアフター
施工前の黒くなっている箇所は、明り取りが汚れと変色で黒くなっています。
室内側はいくらか明るく照らしますが、雨漏りリスクや予算の都合で新しい屋根で被せました。
それ以外の箇所の劣化も激しく、雨漏りに悩まされながら補修を繰り返していたことが容易に想像できる状態でした。
施工後はシルバー色のガルバリウム鋼板の屋根材での仕上がりなので、ピカピカで綺麗な仕上がりです。
耐久性にも優れているので、長期にわたり安心して頂けます。
施工前の安全対策
作業足場の設置と落下防止用のネットを先行で設置
じつは工場や倉庫の屋根に使用されている波型のスレート屋根は、落下事故がとても多い屋根です。
屋根作業になれている職人でも一歩間違えると死亡事故に繋がる為、工事には万全の安全対策を行って作業を進めます。
通常の足場設置後に、屋根上に落下防止ネットを施工します。
これにより踏み抜けを起こしても落下を防止することが出来ます。
祭日に材料搬入
当日にレッカー車を使用して一日で荷揚げ作業を完了いたしました。
屋根の本体施工は2日間で行いました。
初日に一棟を施工、施工後に残りの屋根材を屋根上に荷揚げを行い、翌日はレッカー車無しでの二棟目の屋根施工を行いました。
屋根本体の施工後は板金役物の棟、ケラバなどを雨仕舞の施工、最後に掃除をして完成です。
今回ご提案したカバー工法とは?
カバー工法とは、既存の屋根を残して、その上に新しい屋根を取り付ける工法です。
工場や倉庫に多いスレート波板屋根、金属屋根のどちらでも施工する事が可能ですが、メリットとデメリットがあるので、それらを理解した上でのご検討をおすすめしております。
カバー工法のメリット
1.室内はそのままで工事が可能
既存屋根の上に新しい屋根を施工することが可能なので、室内側はそのままにした状態で工事が可能です。
多少のゴミやほこりが落ちてしまうのでご理解は必要ですが、機械や設備を移動させる必要が無かったり、汚したくない箇所をブルーシートなどで養生すれば十分である場合がほとんどです。
屋根本体を張る工事が終わればゴミや埃の落下はごく少量になるので、施工完了前に工場を再開することができます。
2.費用が安くなる
屋根の張り替えの場合は解体費と処分費が発生しますが、カバー工法は既存屋根を残すので解体処分費用が大幅に省けます。
また、2004年以前の波板スレート材を解体処分する場合はアスベストが含まれた建材の為、産廃処分が特殊で処分費のみで3万円/㎥以上(2022年)と一般的な産廃に比べとても高額になります。
解体にも気を使わなければならない建材のため、通常の解体費よりも高くなります。
3.工期短縮
解体作業が不要になるので工期が短縮されます。
また屋根張り替えの場合、室内側に野ざらしにできない、雨に濡らせない物があると屋根が無い状態には出来ないため、解体と同時に屋根を張るような同時進行になり、さらに工事が長引いてしまいます。
カバー工法のデメリット
1.屋根が重くなる
屋根材の種類にもよりますが、金属屋根材は大体が約5kg/㎡~8kg/㎡です。
既存の屋根が波型スレートの場合の重さが約20kg/㎡なので3割程度重くなり、その荷重は建物の耐震性では不利に働きます。
通常の鉄骨造であれば施工に問題となる重さではありませんが、1981年6月1日以前の旧耐震の建造物で明らかに耐震性に問題がある施工や劣化や腐食などで問題が発生している場合、カバー工法はおすすめ出来ません。
また、太陽光パネルを設置する為に金属でのカバー工法を検討している場合は、さらに屋根が重くなるためそのような場合は構造計算してもらうのが良いでしょう。
2.解体費の持ち越し
屋根を残したままにするということは、いつかの建物解体時の費用が増えます。
解体費用は年々高くなっているので10年、20年後は今よりも高くなっている可能性は高いです。
ただし、屋根葺き替えではなく、建物解体をする場合はまとめて解体するので部分解体である屋根葺き替えより単価は安くなる可能性はあります。
3.室内側の屋根はそのまま
天井がない屋根の場合は、屋根材がそのまま天井になります。
張り替えの場合は室内側の天井が綺麗になりますが、カバー工法の場合は古いままです。
また、工事中に古い屋根を踏み抜きなどで破損させてしまう場合がありカバー工法の特性上、室内側も綺麗に施工することが難しいです。
まとめ
カバー工法にはメリットとデメリットがあるので、建物を今後どのように使いたいのかを計画をした上で予算を考えると良いです。
工事での工場停止する期間をなるべく短くしたい場合はカバー工法がおすすめですが、安さだけでカバー工法を選ぶと後悔する可能性もあります。
例えば鉄骨造の場合は築年数が50,60年以上でも構造に問題なく使用出来る可能性がある中で、永く良い環境にしたいと考えると、断熱や遮熱性能活かした屋根材をつかった工法での張り替えを検討した方が工場内や倉庫内の環境が向上し生産性が高まり費用対効果も期待出来るでしょう。
屋根や建物の状態で施工が出来るかどうかは決まりますので、まずはお気軽にご相談ください。