ガルバリウム屋根のメリット・デメリット

最近増えつつある金属屋根(ガルバリウムやSGL鋼板)ですが屋根材を検討する際は新築でもリフォームでもメリットデメリットを知ることで失敗しない屋根にしましょう。

現在よく住宅の屋根や外壁で使用されている金属はトタン、ガルバ、SGL鋼板がです。そのなかでもガルバ鋼板が一般的でSGL鋼板も近年増えている金属材です。
トタンは既存の建物に使用されていることが多くお客様がイメージするのはこのトタンかもしれませんが、材料は日々進化しているのであなたが知っている金属屋根は古い常識かもしれません。

そこでまずはトタン、ガルバリウム鋼板、SGL鋼板について説明します。

・トタン(正式名称:溶融55%アルミニウム-亜鉛合金メッキ鋼板)
薄鋼板に亜鉛メッキしたもので昭和の板金屋根といえばトタン材でした。10年~20年に塗装メンテナンスが必要で怠ると錆穴が発生して雨漏りを起こすことがあります。現在でも波板材などの安価な材料に使用されています。

・ガルバリウム鋼板(正式名称:溶融55%アルミニウム―亜鉛合金メッキ鋼板)
通称ガルバとなどと言われる鋼板材で、トタンに比べ36倍の耐久性があります。1980年ごろから使われ始め、2000年頃にはトタンに変わり金属サイディングや屋根材として一般的に使用されています。

SGL鋼板(正式名称:2%マグネシウム添加55%アルミ亜鉛合金めっき鋼板)
通称高耐候ガルバ、次世代ガルバなど言われるSGL鋼板ですが基本的にはガルバリウムと同じ構造でありながらマグネシウムの防錆効果が加わったことで耐食性が3倍以上高くなり、一部の屋根材などに使用され始めました。

上記以外にもアルミニウム、ステンレス、銅、ジンカリウム鋼板などがありますが、一般的な地域や屋根の場合は上記の3種類が使用されていることが多く、トタンに関しては物置や納屋といったところで使う場合がある程度で住宅の場合にはガルバかSGLが使用されること多いです。

では、皆さんが気になるところは耐久性やメンテナンス、デザインなどかと思いますのでご説明していきます。

金属屋根のメリット

金属屋根のメリットは大きく4つあります。

  • 防水性
    母材が金属なので透水性なく、継ぎ目を少なく施工できるので漏水のリスクが軽減します。曲げ加工が可能なので他の屋根材よりも防水性に優れています。立平材であれば他の屋根材では不可能な緩い勾配屋根も実現できます。
  • 耐久性
    屋根メーカーの穴あき保証が25年ということが示すように簡単に劣化するものではありません。しかも25年はあくまでも保証の話しでメーカーが耐久性ギリギリに保証することはあり得ません。とあるメーカーの方とお話ししたときは保証の倍は想定しているとの話だったので50年相当の耐久性は期待して良いでしょう。
  • 軽量
    金属なので重い印象を持たれているかもしれませんが屋根材の中でトップクラスに軽いのが金属系です。軽い良いのは耐震性に有利になるので他の屋根材を選ぶより構造の幅が広がりや耐震性が良くなる場合があるでしょう。またリフォームでカバー工法が可能なのも軽量な金属ならではの工法といえます。
  • キャッチ工法
    近年ではエネルギー問題や電気代高騰、脱炭素SDGsなどの観点からや太陽光パネルを屋根に設置を検討する方が増えています。その中で設置か容易なキャッチ工法が出来るのが金属屋根の特徴です。他の屋根、特にスレートやアスファルトシングルといった屋根の場合は屋根に穴をあけて固定するため施工に疑問を感じますがキャッチ工法の施工が可能な金属屋根では新築は勿論後から設置も容易にできるので太陽光パネルを検討するときは金属屋根がおすすめです。

金属屋根のデメリット

  • 防音性
    金属屋根で一番は注意したいのは防音性です。一般的な屋根材の金属の厚み1ミリに満たない薄い鋼板の為雨の音が室内に響く可能性があります。雨の日の車の中を想像すると分かりやすいです。ただし、車と違い今の住宅の場合は天井と厚い断熱材があるのと、遮音施工もあるので家の性能次第とも言えます。古い無断熱住宅で瓦から金属リフォームをする場合は注意しましょう。
  • 断熱性
    材料の中で断トツで金属は熱を吸収するので断熱性能は非常に低いです。その為メーカーの商品で断熱材と一体型の屋根材もあります。また通気層で対策も可能です。ただ、家の断熱性能は屋根材で基本考えないので断熱材などで対策する事が一般的な考え方です。
  • キズ、へこみ
    金属は割れや欠けに強いのですが衝撃に対してへこみが発生しやすいです。又、表面が塗装されているのですが擦れなどでキズが発生することもあります。
    ただし、軽いキズであればメッキ層が溶けて保護するため大きな問題には至りませんが、へこみの修復はかなり難しいですがそれほどの被害が出る場合は他の屋根でも割れや傷が発生する可能性が高いです。万が一にも備えたい場合は火災保険を検討しましょう。
  • 施工性
    金属の特性で加工の自由度があり雨仕舞の施工には職人の腕に左右されやすいです。勿論それは費用といったところにも影響します。相見積もりで同じ商品だったので安い業者を選んでも施工内容まで同じと限りません。見た目が同じでも10年で不具合が発生する可能性と30年経っても問題がないというくらいの差は技術力や手間暇で違ってきます。

たて張り?よこ張り?

さて、メリットデメリットを話しましたがお任せする施工業者が技術力と知識があり尚且つお客様の意向を踏まえて納得できる費用で施工してくれるなら何も悩む必要はないです。しかし、実際は無知な業者や費用が異様に高い業者なども一定数あり、又会社によっては金属施工自体を得意としていない場合も有るでしょう。間違った業者選びは失敗の始まりです。誰かが苦労するか、後悔することになるでしょう。

そうならないためにメリット、デメリットの他に最低限の金属の知識を書かせていただきます。

一般的に使用される金属屋根材には形状や種類、メーカーによっていろいろなものが存在しますが、住宅で使用される屋根材は立平材か横葺き材の形状がほどんどを占めます。

立平材は屋根面に対して縦方向に張る材料で特徴は緩い屋根勾配(屋根の角度)でも防水性に優れていることです。例えば瓦でフラットに近い勾配だとはほぼ100%雨漏りが起こりますが立平は5/100勾配まで対応しています。最近流行の軒の出無しの住宅で採用されることが多く、施工性の良さも職人として嬉しい材料です。

メーカーと商品名
月星商事のタフビーム
ビルドマテリアルのデコルーフ
稲垣商事のスタンビー
など

次に横葺き材は屋根面に対して横方向に張る材料で特徴はお寺の屋根のような複雑な形状にも対応できることです。そのかわり立平材のような緩い勾配には不向きで一般的には3/10勾配までで下葺き材を粘着系にすることで2.5/10までの対応です。裏に断熱材がついている屋根材を選ぶ場合は横葺き材になります。

メーカーと商人名
・ニチハの横暖ルーフ
・アイジー工業のスーパーガルテクト
・ディートレーディングのディーズルーフィング
・セキノ興産のAT段式
など

同じ金属屋根でも張り方が縦か横かで適している屋根形状が違いうので適切な屋根を選びましょう。

最後に

最後に超重要な2つポイントがあります。これによって40年以上の耐久性になるかどうかが決まると言って過言ではないです。(小まめなメンテナンスは必要)

  • なるべくシンプルな屋根形状

  • 施工する職人の技術力と知識によると適切な施工と費用

家の間取りを優先して屋根の形状が複雑という家が多く見受けられます。そして共通して不具合のリスクが増しているといえます。複雑ということはそれだけ手間暇をかける必要がありますが、今の建築業界を考えると難しい施工に時間をかけられる余裕がある会社は少ないと感じています。もちろんそれに見合った報酬が有れば良いのですがそれを理解してくれる方が少ないのも現状です。その施工不良の問題を防ぐ方法はいくつかあります。

まず一つ目は、シンプルな屋根にすることです。
シンプルな屋根は職人の技能に左右されにくくなるので腕の良い職人が施工しようが万が一腕の低い職人が施工しようが施工内容に違いは少ないため施工不良のリスクは大して変わらないと言えます。
でも、どうしても土地の都合や、リフォームで屋根の形状を変えられない、複雑な屋根を選ぶしかないということがあるかと思います。
そんな時は平井板金を頼ってみてはいかかがでしょうか?というのは冗談ですが、
少なくともここで書いていることを理解している会社に頼むことが失敗しない工事になると思います。それは、良い家を作っている会社の場合でも「瓦は出来るけど金属屋根はやったことない」ということもあるかと思います。そんな時は金属を選ぶこと自体がリスクとも言えます。
それでも金属に対するあなたのこだわりが有る場合は理解のある会社を選ぶ必要があります。

ガルバリウム屋根も金属サイディングも次世代型と言われるSGL鋼板もどれも良い材料です。そしてその金属と比べられることが多い瓦も日本の屋根には無くてはならない屋根材です。どちらにもメリットデメリットがあり、適している建物があればそうでない建物もあります。その中でトタンという過去イメージである金属は錆びる、うるさい、暑そうといったものは古い記憶であり、これからの家の耐久性向上とメンテナンス性が求められるなかで予算と性能のバランスがとれている金属材を選ぶことが多くないことは建築業界全体として間違いないと言えるでしょう。

そして平井板金は今のお客様の希望に添えるように協力する事と会社としての役割を果たしていけるように努力していきます。

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