これから職人になる人や興味がある人の為に、この業界の真実と闇をしっかりと知っていただきたいと思います。 まずは、前置きとして私(39歳)の経験した限られた範囲で、簡単にどのような時代背景に職人が存在したのかをお話しします。 1991年バブル崩壊後、日本の企業の多くが低迷したと同じように建築業界の会社も倒産や縮小そして職人も離職や賃金低下がありました。 その後1995年の阪神淡路大震災では倒壊してしまった建物の一部に施工不良が原因で倒壊した建物があり、それがニュースなどで大きく取り上げると、当時は地元建築会社や大工さんで建てることが当たり前の時代からハウスメーカーに依頼するほうが安心・信頼するように一般の方の考えが変化していきます。
その頃からハウスメーカーが大きく拡大していくのですが、ハウスメーカーはコストカットの為に人件費削減や工場生産による仕事の簡略化などを行いハウスメーカーは売り上げを伸ばす一方で職人の賃金は徐々に低下していきます。 その後2011東日本大震災、喜ばしいことではありませんが震災が起こると震災特需と言って復旧工事が増えて建築・建設業は忙しくなります。
平井板金の地元埼玉県では多くの瓦屋根が崩れてその復旧工事の問い合わせが殺到しました。 その後はアベノミクス効果による公共工事増加や2020東京オリンピック特需による工事増加などで職人が必要とされ賃金も徐々に増加していきます。
ですが新たな問題として新築棟数が減少傾向で2018年度は95万戸から2025年度は73万戸、2030年には63万戸になる予測データなどもあります。 そして2020年にはコロナ禍です。当初は問題発生した中国で製造されている建材がストップするなどの影響で工事が進まなくなるなど被害がでました。。
その後国内でも感染拡大すると大手ゼネコンでも工事がストップが起こり、一流建設メーカーでも売り上げが激減するなど異例な事態になりました。 この建築・建設業は経済や政策、そして時代の変化の影響を受けやすい業種と言えます。その変化に合わせられなかった会社や職人は廃業に追い込まれたり、低賃金のままは働かざるをえないのです。 今後の建築・建設業がどのように変化し、職人の環境はどのようになるのかを会社規模だけでなく、個人の職人でも考えて想像できるかが大切になると考えています。

職人の労働環境

労働環境によって「ブラック企業」「ホワイト企業」などと分けていわれますが、建築業の殆どが「ブラック企業」に当てはまると思います。 きつい、汚い、危険の「3K」に加え「安月給」「少ない休み」「倫理なし師弟関係」などすべてが当てはまらなくても古い体質の会社は多く存在すると感じます。
でもそんな中でも国や建設業界に改善の動きはあります。公共事業における労働単価の引き上げ、雇用保険・健康保険といった福利厚生の加入強化、 女性職人増加と働きやすい現場をつくるといった環境改善。ゼネコン大手では現場工事を週休二日制にして下請けの職人が休みやすい環境にする動きもあります。
ですが、現実はまだ「闇」の中です。
大手ゼネコンでも重層下請け構造から抜け出せていない現在、大手企業の景気が良くても下請け零細企業やそこで働く職人にはまだまだその効果が少ないのが現実です。 (取り付け工事を行う職人は5次6次下請けという話を耳にすることが多い) そもそも、日本の多くの会社の給料形態が月給制で週休2日制を導入しているのに対して、職人は日給月給の日雇いが一般的です。 上記のようなゼネコンが週休二日制を導入しようが職人はその現場休日は別現場で働くなんてざらにあります。 また、有給休暇を採用している職人というのは回りで聞いたことが無い(平井板金有給有ます!)ので、休めばその分給料が減ります。 
高度成長期やバブル期なら間違えではなかった働き方かもしれませんが、今の建設業の働き方が現代に適しているかは疑問がのこります。当たり前のように建築業界全体に根付いてしまった仕組みが職人の魅力を下げてしまっている状況です。

仕事変化

大工職人の話ですが、現在建てられているの多くの家がプレカットという木を建材に加工する機械を使っています。 現場工事をする際には木の加工が最小限で家が建つので工事期間の短縮や予算の削減などお客様には非常にありがたいことでした。 これは今の時代に合った家の建て方だと思いますが、当時は大工職人が一人前になるまで10年を要すると言われるほど高い技能を求められそこに価値がありました。でも現代はハウスメーカーの仕事によって数年でマスターできる取り付け職人へと変化しています。 機械化の波は大工職に限らず他業種に渡り広まっていくでしょう。 そして職人はその変化に対応していかなければいけません。 5年先10年先を見据えた会社経営と揺るがない信念、それを支えるのは志を持った職人ではないでしょうか。

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